
外貨建て保険は、支払った保険料を外国通貨で運用することで、高い利回りを期待できるとされる保険商品です。
しかし、為替リスクや手数料の高さ、解約時の元本割れリスクなどがあるため、保険としては「不要」と判断されることも多いです。
本記事では、外貨建て保険の仕組みやリスク、なぜ不要とされるのかを詳しく解説し、資産形成に適した代替手段についても紹介します。
1. 外貨建て保険とは?基本の仕組みと特徴
外貨建て保険は、契約者が支払う保険料を米ドルや豪ドルなどの外国通貨で運用し、満期時や解約時に外貨で保険金を受け取る仕組みの保険商品です。
円建ての保険よりも予定利率が高めに設定されているため、利回りが良いように見えます。
外貨建て保険の主な特徴は以下のとおりです。
- 為替リスクを伴う:円高になると受取額が減少する可能性がある。
- 手数料が高い:為替手数料や保険会社の管理費が上乗せされる。
- 元本割れリスクがある:運用成績や解約タイミングによっては元本を割る可能性が高い。
このように、外貨建て保険は単なる貯蓄型保険ではなく、高いリスクを伴う金融商品であることを理解することが重要です。
2. 外貨建て保険のデメリット
1. 手数料が高く、コスト負担が大きい
外貨建て保険は、契約時・解約時の手数料や運用管理費など、多くのコストがかかる商品です。
為替手数料は1ドルあたり数銭~数十銭程度かかるため、円で換算したときに想定以上のコストが発生することがあります。
また、保険会社が管理するための手数料も上乗せされており、実際の運用リターンが大きく削られる原因になります。
2. 為替リスクが大きい
外貨建て保険は、為替レートの変動によって受取額が大きく変動するリスクがあります。
例えば、契約時に1ドル=120円だった場合、受取時に1ドル=100円になっていると、日本円換算の受取額は大幅に減少してしまいます。
これは外貨建て保険特有のリスクであり、円建ての金融商品にはない不確実性を伴います。
3. 保障と投資が分離できない
外貨建て保険は「保険」と「投資」が一体化した商品ですが、これが大きなデメリットとなります。
本来、保障はシンプルな定期保険などで確保し、投資は投資信託やETFを活用するのが合理的です。
外貨建て保険は、必要のない手数料を払うことになり、コストパフォーマンスが悪くなります。
3. 外貨建て保険をおすすめしない理由

1. 低コストの外貨投資のほうが効率的
外貨建て保険の手数料や管理費は高額で、長期的な資産形成には向いていません。
一方、外貨建ての投資信託やETFを利用すれば、運用手数料を抑えながら効率的に資産を増やせます。
また、外貨預金を活用することで、必要なタイミングで外貨を売却・換金できる柔軟性も持っています。
これに対し、外貨建て保険は解約手数料や為替リスクがあるため、コスト面でも流動性の面でも不利です。
2. 保障が必要なら別の保険でカバー可能
外貨建て保険は保障と投資を一体化させた商品ですが、保険と投資を分けたほうがコストを抑えられます。
例えば、死亡保障が必要なら低コストの定期保険を利用し、資産運用は外貨建てのETFや投資信託を活用するほうが合理的です。
また、外貨建て保険では解約時のペナルティが大きく、思うように資金を運用できない可能性もあります。
したがって、保障はシンプルな保険で確保し、投資は投資専用の商品で行うべきです。
3. 解約時の元本割れリスクが高い
外貨建て保険は契約期間中に解約すると、払込保険料よりも低い金額しか戻らないリスクがあります。
特に短期間での解約では、手数料によって大幅に元本割れする可能性があります。
また、保険会社の解約控除や運用成績の影響を受けるため、思っていたほどのリターンを得られないことが多いです。
そのため、途中解約のリスクを考えると、より柔軟な投資手段を選ぶほうが賢明です。
4. 外貨建て保険に代わる選択肢
定期保険+外貨投資
定期保険は死亡保障を提供しつつ、低コストで加入できるため、余剰資金を有効活用しやすい保険です。
一方、外貨建ての投資信託やETFを活用すれば、為替リスクを管理しながら長期的な資産形成が可能になります。
外貨建て保険に比べて手数料が低く、流動性も高いため、必要なタイミングでの資金管理がしやすくなります。
NISAやiDeCoの活用
NISAやiDeCoは、運用益が非課税となる税制優遇制度であり、長期的な資産形成に最適です。
iDeCoでは掛金が所得控除の対象となるため、節税効果が高く、老後資金の準備に向いています。
一方、NISAは短期から長期の投資まで幅広く活用でき、変額リスクのある外貨建て保険よりも柔軟な運用が可能です。
外貨預金の活用
外貨預金は、必要なタイミングで外貨を購入・売却できるため、為替リスクを自分で管理しやすい金融商品です。
外貨建て保険のような高額な手数料が不要であり、為替レートを見ながら運用することが可能です。
また、低コストで簡単に外貨運用ができるため、外貨資産を保有したい人にとって合理的な選択肢になります。
5. よくある質問(Q&A)
Q1. 外貨建て保険はどんな人に向いていますか?
A. 外貨建て保険は、為替リスクや手数料の高さを理解したうえで、長期運用を考えている人向けですが、基本的に不要と考えられます。 低コストの外貨投資や定期保険の組み合わせのほうが合理的な選択肢となります。
Q2. 外貨建て保険の解約タイミングはいつが良いですか?
A. 解約するなら為替レートが契約時よりも有利なタイミングを選ぶことが重要です。 また、解約控除や手数料が発生するため、慎重に検討する必要があります。
Q3. 外貨建て保険と外貨投資はどう違いますか?
A. 外貨建て保険は、保険と投資が一体化した商品で手数料が高額です。 一方、外貨投資は手数料が低く、より自由度の高い運用が可能なため、資産形成には外貨投資のほうが適しています。
6. まとめ
外貨建て保険は、一見すると利回りが高く魅力的に見えますが、実際には手数料や為替リスクが大きいため、多くの人にとって不要な選択肢といえます。
純粋に保険を求めるなら定期保険や収入保障保険、資産運用を考えるなら低コストの外貨建てETFや投資信託を活用するほうが合理的です。
特に、投資初心者や保険料の負担を抑えたい人には、外貨建て保険は不向きな選択肢となります。
契約前に、他の資産形成方法と比較し、本当に必要かどうか慎重に検討しましょう。